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2015年09月06日

溶融炉と沖縄のごみ問題との関係

今日は日曜日なので、じっくりと時間をかけて溶融炉と沖縄のごみ問題との関係を改めて整理してみたいと思います。

昨年の9月に国内で溶融炉の不適正な休止をしていた市町村の名前が会計検査院の調査で明らかにされました。その中で沖縄県は離島の3村(座間味村、渡名喜村、伊平屋村)が不適正であるとの指摘を受けました。全国で16の市町村が同様の指摘を受けていますが、全都道府県の中では沖縄県が一番多いという不名誉な結果になっています。しかも、現在は本島の中城村北中城村清掃事務組合が1年以上溶融炉を休止しています。しかし、沖縄県は県の廃棄物処理計画において溶融炉の整備を推進しています。

そこで、まず最初に溶融炉の休止をテーマに沖縄のごみ問題を考えていくことにしました。なぜなら、市町村の計画と県の計画がバラバラの状態では沖縄のごみ問題は永遠に解決しないと考えたからです。そして、この問題を解決することが沖縄県におけるごみ問題を解決する糸口になると考えたからです。

まずは、溶融炉に関する法律の規定がどうなっているか整理してみました。下の画像をご覧下さい。
溶融炉と沖縄のごみ問題との関係
溶融炉と沖縄のごみ問題との関係


この画像にあるように、溶融炉を休止する場合は、その期間や理由によって法律の規定が違ってきます。その中で一番重要なのは右側のケースになります。実は、会計検査院から指摘を受けた離島の3村はこのケースに該当します。そして、会計検査院が調査を行ったとき(平成25年度)は溶融炉を稼動していた中城村北中城村清掃事務組合も現在(平成27年度)はこのケースに該当する形で溶融炉を休止しています。したがって、沖縄県では3村1組(2村)が国の補助金を利用して整備した溶融炉を法令(補助金適正化法)に違反する形で休止していることになります。

次に、下の画像をご覧下さい。これは、平成28年度からスタートする地方版総合戦略に関する画像ですが、簡単に説明すると、平成28年度からはコンプライアンス意識の高い地方公共団体とコンプライアンス意識の低い地方公共団体との格差が広がってコンプライアンス意識の低い地方公共団体が「負け組み」になるということを示しています。
溶融炉と沖縄のごみ問題との関係
溶融炉と沖縄のごみ問題との関係


国は平成28年度からは地方公共団体による「競争の時代」になると断言しています。そうなると、コンプライアンス意識の低い地方公共団体に対しては補助金の交付が後回し(劣後交付)になることは確実です。なぜなら、そのような地方公共団体は補助金を無駄遣いする確率が高くなるからです。

つまり、この図は溶融炉を休止する場合であっても法令に基づく適正な事務処理を行っていない地方公共団体は「負け組」になる可能性が高くなるということを示しています。

最後に、下の画像をご覧下さい。これは、法令に違反して溶融炉を不適正に休止していた市町村が違反を是正するために溶融炉を再稼動する場合のリスクを整理したものです。
溶融炉と沖縄のごみ問題との関係
溶融炉と沖縄のごみ問題との関係


国の補助金を利用して溶融炉を整備していた市町村が補助金の交付の目的に従って順調に溶融炉を稼動していれば、とりあえず問題はありません。しかし、沖縄県において溶融炉を休止している市町村のほとんどが財政負担の増加を理由に休止しています。したがって、溶融炉を再稼動した場合であっても財政負担を削減することはできません。しかも、再稼動すれば国や県の計画に従って長寿命化(延命化)を行うことなり、市町村の財政は益々悪化することになります。その上、この画像の右側にあるように長寿命化を行った後においても補助目的を達成できなくなるリスクを抱えています。

もしかしたら、画像の左側にあるように溶融炉の長寿命化そのものが困難になる場合も考えられますが、その場合は溶融炉を再稼動しても国の財政的援助を受けることができなくなるので、自主財源によりごみ処理を行っていくことになります。

このように、溶融炉を整備している市町村は「休止」という手段では財政負担を削減することができない構図になっています。県はそのことを承知の上で溶融炉の整備を推進していますが、「休止」をしている市町村が国内では沖縄県が一番多いという現実を考えると、もうそろそろ県の計画を見直す時期に来ているように思います。

では、どうすればよいのか?

答えは簡単です。沖縄県が溶融炉に依存しない廃棄物処理計画を策定すること。・・・それしか答えはありません。

※このブログの管理者は内地からの移住者ですが沖縄県民です。その沖縄県民からすると市町村に対する県の技術的援助が足りないように感じられます。もしも、県が市町村の法令違反には「目をつぶる」という古典的な技術的援助を行っているとしたら、平成28年度以降は、法令に違反している市町村だけでなく沖縄県そのものが「負け組」に整理されることになります。そのようなことにならないように、沖縄県民の1人として県に益々の精進をお願いする次第です。

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Posted by ななパパ at 07:07│Comments(1)溶融炉
この記事へのコメント
私は兵庫県の住民です。私たちのごみ処理は2009年より1市3町合同で処理をしています。ストーカ+灰溶融炉です。国の補助を受けたため、10年間は溶融炉を使用しなければならなかったが、その10年も過ぎ、2020年の政府のカーボンニュートラルの考えから、今年度になり、やっと溶融炉の廃止を言い出しました。私は、炉について素人なので、溶融炉の燃料費や・メンテ代・埋立地までの運搬費・埋め立て費用等々調べています。結果、焼却灰をそのまま埋め立てた時と比較して、金額的に大きな差があれば、溶融炉廃止を訴えたいと考えています。その手法として、住民監査請求を考えているのですが、財務会計行為としての違法・不当な公金の支出に無理やりする必要があります。廃炉すれば、こんなに安くなるのに、職員の怠慢で市民に重大な損失を与えた。と言うような理屈があれば教えて下さい。
Posted by 石井久義 at 2022年06月21日 10:41
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